- 2017年12月5日
佐木隆臣「君のことを想う私の、わたしを愛するきみ。」人を思う距離はどこにあるのか
[引用:NetGalley] 人の命は有限で、過ぎ去った過去は遡ることができない。そんなあたりまえのことをつい人は忘れた……
「NetGalley」というサービスをご存じでしょうか? つい先日、別のサイトを見ている脇に広告バナーとして上がっているのを見るまで全く知らなかったサービスです。Net”Galley”(ギャレー、ゲラの意味)ではなく”Gallery”(ギャラリー)だとしばらく思っていたくらい。
NetGalleyは2008年にアメリカの電子書籍制作プロダクションFirebrand Technologies社が始めた“電子的なゲラ(いわゆるプルーフ本)をプロフェッショナルな読者に配信し、これから発売される新刊や発売中の作品の販売促進、埋もれている過去の作品の掘り起こしなどを支援“
するサービス。
日本では2017年5月にサービスを開始しています。
「本の応援団」というのが言い得て妙で、私のように本好きなだけのレビュアー、ブロガーが発売前の作品のゲラ・原稿を読んで感想をシェアしたり、出版社にフィードバックすることができます。
なかなか興味深いサービスなんですが、意外と知られていない様子。まぁ、確かに書籍とかってYouTuberには向かない素材ですし、ブロガーならともかく出版社関係の人はなかなか広めづらいサービスかもしれませんからね……。で、私が実際に登録して利用してみたら、「これ、凄いサービスかも!」と感じましたので、しっかりとご紹介させていただきます。
NetGalleyの登録は簡単です。サイトのトップページの「会員になりましょう!」をクリックして、ID、パスワード、氏名やメールアドレスを登録するだけ。会員のタイプは、書店関係者、教育関係者、図書館関係者、メディア関係者、レビュアーから選択します。一般読者はレビュアーで登録して、レビュアーの種類として自身のブログを持っている人は「ブロガー」で、Amazonやブクログにレビューを投稿している人は「一般レビュアー」として登録すれば準備は完了です。
ログインすると、「作品を探す」から各出版社から提供されている作品がずらっと並びます。自身のお気に入りジャンルや出版社を登録していると「ダッシュボード」でおすすめの書籍が表示されます。
表示された本の画像をクリックすると、作品の詳細が表示され、カバーデザインの評価ボタンとともに「リクエスト」ボタンがありますのでそちらをクリックして、出版社に「読みたい」を送ってください(一部の作品は承認なしに読むことができます)。
出版社の担当者が承認すれば、「会員の本棚」にその作品が登録され、ゲラをPDFでダウンロードすることができるようになります。作品の閲覧はPCをはじめほとんどのモバイル端末でも狩野です。私はKindleFireHD8を使用していますが、iPhoneやAndroid端末などでも利用方法が丁寧にヘルプに書かれており気軽に利用することができます。
読み終えた作品は、NetGalleyから感想をレビューとして、作品のキーワードや出版社へのコメントをフィードバックすることができます。
レビューはそれぞれの本の詳細ページに表示され、他の読者の参考になります。また、書いたレビューはTwitterやFacebookでシェアすることができます。
レビュアーとして何よりもいいなと思うのは、今までの方法では難しかった出版社や著者にレビューを届けることが本当に簡単にできること。そして、それを出版社や著者が販促に気軽に使えること。
NetGalleyで読ませていただいた作品は、とりあえずTwitterにもシェアするようにしたのですが、著者や出版社さんがすぐにリツイートしたり「いいね」してくださったりするので、自身のレビューがわすかながらでも販促に使われ、本当に「本の応援団」になれるかもと思わせられます。
あと、単純かもしれませんが著者から「いいね」がいただけるのはテンションがあがります。
レビュアーとしてはNetGalleyだけでなく、Amazon(出版日以前はレビューを投稿出来ません)やブクログにもレビューを投稿して、今後はこちらのブログでも特に面白かった本は紹介していこうかなぁと思っています。
最初、利用を開始したとき、出版関係者でもないしリクエストしても出版社さんは承認してくれないだろうなぁと思っていたのですが、そんなことはなくてリクエストした8冊は全て数日(ほとんどは当日または翌日)に承認していただけるという嬉しい誤算。
おかげで全部読めてなくて、まだ4冊だけしかフィードバックできておらず申し訳ない限り。
ガンガン読んで、ガンガンレビューしなければ。
と、サービスの利用方法や表向きの利点について書いてきましたが、もう一つ私がこのサービスについて勧めたいのは「出会わぬ本に出会える喜び」だということ。
本好きやと言いながら、私、ここ数年、本を読む量がガクンと減っていました。本を置くスペースがないから新しい本を買うのをためらうのが多分一番の原因だと思うのですが、そのくせ電子書籍はなんとなく味気なく思っていたのかほとんど買わなかったのです。
NetGalleyに登録してみようと思ったのは失礼ながら「タダで本が読める」「電子書籍(PDF)やったら邪魔にもならない」なと思ったのが正直なところです。
ところが、実際のところNetGalleyに登録されている本は、出版社さんがチョイスしている作品なので、それほど数はありませんが、おそらく出版社さんは「売りたい」と思っている作品ばかり。ちょうど、書店をウロウロして平置きされている本の装丁やタイトルを見て衝動買いようなイメージで軽い気持ちでお試しでリクエストしたりしているのですが、意外とそれが当たりで、読み終えたあとにその著者の他の作品を検索して見たり、学生時代に手当たり次第に宝探しのように本を買っていた頃のようなワクワクとした気持ちになっています。
既に読み終えた4作品も、それぞれ選んだ理由は様々で、
お仕事系の連作短編小説って面白いのが多いし、このカバーが素敵なので選びました。多分、本屋で見かけたら手に取る作品。
連作短編集らしい一本通ったストーリー展開で、なかなか楽しめました。
主人公が公務員だということで選んだんですが、読んだ4冊の中では一番印象に残った作品。太宰治賞受賞作品ですが、こちらはおそらく本屋で見かけても著者は知らない、タイトルもカバーデザインも好みでないので手に取らずにスルーした作品だと思います。
カバーデザインは可愛いけれど、これも本屋さんで見かけても手に取らない作品。コミックジンガイなんて「人外」をテーマにした漫画サイトがあるなんてこと、初めて知りました。
松久淳さんという著者名だけで選んだ作品。著者(+田中渉さんとの共著)の「ラブコメ」って作品が大好きなので、最新作を発売前に読めるてだけで最高の気分でした。読み終わってこの間読んでなかった著者の作品をすぐに検索してしまいました。
とまぁ、最近の生活スタイルを考えると、それぞれ色々な意味で、本屋さんやAmazonさんでは「出会わぬ本」だったものだった作品ばかり。そんな作品に出会えた上に、他の作品やサービスに繋がっていくのは本好きにはたまりません。
本好きの人、あなたも「本の応援団」になってみませんか。もの凄く楽しそうですよ。
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