研修講師と自己紹介・前説を考える

研修講師と自己紹介・前説を考える

先日、私が所属する一般社団法人公務員研修協会(EPA)の交流会が大阪で開催されました。

EPAは、現役・元公務員が「公務員の公務員による公務員のための研修」を目的とする協会です。
交流会には様々な分野で活躍する地方公務員が集まっていたのですが、一番衝撃だったのが埼玉県三郷(みさと)市の諏訪頼史さんの自己紹介。

交流会の場ではなく、懇親会として居酒屋に移ってから、突然繰り出した自己紹介の必殺技「紙芝居」を駆使して自己紹介で百戦錬磨のメンバーの注目をあつめてしまいました。

ちょっと大きめのリングノートを用意して、リズムよく紙をめくりながら笑いを交えて進めていく自己紹介はなるほど、これは面白い。

公務員研修協会では、自己紹介も研修のコンテンツ
私も防災担当になった頃から講師登壇する機会が増えたので、自分なりに自己紹介は工夫してきたのですが、新しい手法を見せられて、まだまだ研鑽しなきゃいけないなぁと思いました。

ということで、今回は「研修講師の自己紹介(自己流)」について書いてみようかと思います。

……需要あるのか、それ??

前説のプロから得られる自己紹介のコツ

私、人の前に立って喋ること自体は苦手ではありません。

緊張しないかと言われたらそうではなく、しっかり体は震えていたりしますし、前もって準備したとおりに話せるわけでもありません。

でも、始まってしまえばあまり考えることもなく進行することができるのですが、何度も人の前に立つと、研修の参加者をもっと研修にのめり込ませたいと思うようになりました。

そうなると、研修のコンテンツとして「前説」や「自己紹介」はおろそかにできません。
「これは聞かないと!」「これは面白そうだ」と思ってもらえるような研修講師からの最初の一撃になる武器が欲しいと思いました。

そこで参考にしたのが、この一冊。

当時、演劇集団キャラメルボックスの製作総指揮をつとめていた加藤昌史さんが公演の前説で心掛けていたことをまとめた書籍です。

何百人もの観客の中には初めてお芝居を見に来る人も私のように常連の人もいます。前説の短い時間でその後に続く本編への期待をグッと引き上げたり、観劇の注意事項を固くならずに伝える……その「話して伝える技術」は、研修講師にも存分に役立つ内容だと思います。

色々とあって、今は加藤さんとお目にかかる機会がないのが残念です。自分自身が人の前に立つことになって分かったことも結構あるので、今こそ加藤さんと話してみたいなとも思います。

では、この本から私が自身の自己紹介に取り入れている3点をご紹介。

最初の10秒は「バズーカ砲」で一番後ろの人に、その後は「水撒き」で隅から隅へ

人の前で話す時の最初の10秒は大声でなく通る声のバズーカ砲で、一番後ろの人に撃つ

舞台の役者さんが生声で観客に届かせるための声の作り方は完全には理解していないのですが、どこに向けて届くかはかなり意識しています。

自己紹介の一部になる最初のあいさつをボンっと出せるように、そこだけに集中しているといっても過言ではありません。

その後の「水撒き」はまだ掴み切れていませんが、どこか一か所だけに水を撒くのではなく、隅々に言葉を、聞く人が居る場所に届く強さで撒くことを意識しています。

鉄板の自己紹介を必殺技にする

自己紹介がうまい人は「自分」を紹介する、とのこと。学校や勤め先、家族構成、居住地など「自分の所属」を紹介するのではなく、自分がどんな人なのかを知ってもらうことが自己紹介の第一歩。

その中で鉄板のキャッチフレーズを作ることを薦めています。

この辺りは最近だとYouTuberやVTuberの配信を見るとありますよね。

とはいえ、地方公務員で研修講師でキャッチーすぎるものは場に合わないので、今の私のキャッチフレーズは、

「大阪市生まれ、育ち、勤めの雑食系公務員、(があこと)山中正則です」

にしています。

「生まれ、育ち、勤め」は所属なんだけど、3つ重ねてリズムを出して、「雑食系」と「があ」で、何のこと?の引きを作っておきます。他の自治体に講師で伺うときなどは、「皆さんと同じ地方公務員です。」と付け加えたりします。

「があ」はハンドルネームなので基本的には回収しないのですが、「親しい人はあ『があさん』と呼んでくれるので、研修後には皆さんにも『があさん』と呼んでもらえると嬉しいですね」というような振りに使うこともあります。

ツッコミを入れられる余地を作っておく

キャッチフレーズのあとに、「雑食系」の違和感を回収します。

最近は、こんなスライドを挟んでいます。

これは先日、「避難所運営シミュレーション」を実施したときのもの。

色々なことに興味を持っていて(雑食)、今日の研修では「ゲーミフィケーション」「画像生成AI」を交えてやるんですよ、といった感じで説明します。ざっと色んなものを並べることで「雑食系」の意味とともに、「どこか一つ、ぶっ刺さるものがあれば私と仲良くなれる」と距離感を一気に詰めていきます

「雑食系」にはグルメ系のライターもやっていたというのもあるので、そういうのもネタに使えますね。

キャッチフレーズの「生まれ、育ち、勤め」は所属の言葉なんですが、私を知らない人が多い交流会などの自己紹介では、これも振りだったりします。

観光地では外国人に間違えられがちなんですが、私に良く似たトルコのインフルエンサーがいるので、その動画を共有して「ね、がっつり関西人でしょ?」と落とします。

コンプレックスこそ「自分」を紹介する最大のPR材料なので、使えるものはなんでも使いたいですね。


研修のコンテンツが大切なのは当たり前。

自己紹介から、振り返りまでをしっかりとデザインできれば、きっと研修の効果も高められる……はず。

いい研修したいですね。

私がこの記事を書いたよ!

があ

があ 男性

大阪生まれ・育ち・勤めの雑食系公務員。 福祉職だと勘違いしている人が大多数ですが下っ端事務職。濃い顔付きから沖縄人やらトルコ人やら間違える人大多数。違う、違うんだよ~

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