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観劇雑記:キャラメルボックス「ずっと二人で歩いてきた」

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http://www.caramelbox.com/stage/zuttohutari2013/先週の金曜日に続いて、観劇雑記。

演劇集団キャラメルボックス「雨と夢のあとに」の大阪公演千秋楽があり、娘と観劇。
千秋楽といえば、”祭りの終わり”のようなちょっともの悲しい気持ちになってしまうのですが、この日はそんな気持ちもそこそこに、劇場前から特別チャーター便で森ノ宮ピロティホールに移動移動。

なんと、今観たばかりの「雨と夢のあとに」の5年後を描いたアナザーストーリー「ずっと二人で歩いてきた」の大阪公演千秋楽(と言っても、前日との2ステージだけなんですが)を観ることができるのです。
元々、「東京公演だけっ!」って、悲しいことを言うてたのですが、突然2ステージだけとは言え、大阪公演をぶっ込んで下さったので、無理をしてでも行かなきゃと思って娘を無理矢理付き合わせました。

桜井雨は18歳。大学に入学するため、長野から東京へとやってくる。引っ越しの日、アパートの窓の外から、ウッドベースの音が聞こえた。数日後の夜、アパートの前で、男が倒れているのを発見。それは上の階の住人で、大学生の栗原雅俊という男だった。雅俊を部屋に運び込むと、そこにはウッドベースがあった! 翌日、雨が雅俊の部屋を訪ねると、雅俊は中に入ることを拒んだ。雅俊には同居人がいたのだ。恋人? しかし、同居人の姿を見た者は誰もいなかった……。

(公演情報/ストーリーより)

「雨と夢のあとに」で、父・朝晴との別れを経験した雨(原田樹里さん)が、18歳になり出会った男性には幽霊が側についていた。そう、かつての父・朝晴のように。

「雨と夢のあとに」のアナザーストーリー「ずっと二人で歩いてきた」は雨の成長した姿を描く物語であると共に、彼女が出会った雅俊(多田直人さん)と彼につく兄・優作(加治将樹さん)の兄弟の物語でもあります。

キャストは雨の幼なじみの北斗(筒井俊作さん)、雅俊の母(坂口理恵さん)の5人のみ。
雅俊の過去の経験を彼自身が書いた本を読むという形で語り、現在の彼らを雨と雅俊の部屋という限られた場所で演じます。

18歳の雨を演じる原田樹里さんは、13歳の雨の吉田理琴さんを踏まえて本当に雨が成長したような錯覚をうけます。
劇団では若手ではありますが、2011年の「流星ワゴン」で主人公の息子役を演じた辺りから注目している女優さん。
可愛さだけでない、クセを持った現実味のある雨を演じています。

北斗(ほっくん)は雨の幼なじみ。「雨と夢のあとに」にも登場しており、雨と同様に5年の歳が経っているのですが……何があったんだ、この5年に……。「雨と夢のあとに」の北斗を引きずらず、物語中の笑いを一手に引き受けます。

劇団でも中堅、ベテランの多田直人さん、坂口理恵さんが物語を支え、客演の加治将樹さんが力強い幽霊の優作を演じることで明確な違いを生み出しています。

「ずっと二人で歩いてきた」パンフ
「ずっと二人で歩いてきた」パンフ

雅俊の兄・優作の幽霊との別れは「雨の夢のあとに」の朝晴、雨の別れとはまた違う家族の形。父が娘を思う姿と兄が弟を思う姿、言葉や態度は違いますが、キャラメルボックスが常に描いてきた「人が人を想う気持ち」が大事にされています。

そうそう、何よりも嬉しいのが、ラストシーン。
父親の姿を浮かべて憧れた雅俊との、脚本の成井豊さんが言うところの「ボーイ・ミーツ・ガール」の”ミーツ”が爽やかに描かれています。BaseBallBearの”short hair”が流れる中、雨の最後の台詞が心地良く響きました。
役者が5人だけということもあって、なんだか小劇場でお芝居を観たような感じ。そうか、こんな公演も出来るんだ……収益などを考えると難しいだろうけど、小劇場で若手公演とか観てみたくなったなぁ。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=kDc2VebfUdk[/youtube]